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よしの241ギタリスト左手で弾き続ける…半身まひ、リハビリで再起
http://mainichi.jp/articles/20161105/k00/00e/040/224000c
左手で弾き続ける…半身まひ、リハビリで再起
毎日新聞2016年11月5日 11時44分(最終更新 11月5日 13時45分)
脳出血による後遺症で右半身まひとなった湯上(ゆがみ)輝彦さん(40)=東京都八王子市=が、プロギタリストとしての再起を目指し、本格的な活動を再開した。右手は動かず、左手一本で弦をたたく奏法で練習を重ね、11月にもイベントで演奏会を開く。「ギターが無ければ生きていられない。この体とともに、弾き続けたい」。新しい人生の歩みが始まった。【蒔田備憲】
湯上さんは宮崎市出身で、ギターは13歳から始めた。レストランや映像制作会社で働きながらバンド活動を続け、2008年に和楽器と洋楽器と融合させたバンドでCDデビューも果たした。
その後、別のバンドで活動していた12年、警備員のアルバイト中に脳出血で倒れた。約1カ月間、意識がもうろうとし、半年後に退院したものの、右半身に重い障害が残り、利き手の右手はほぼ動かなくなった。
入院中、ギターが頭を離れなかった。着替えなど身の回りのことをこなすのに精いっぱいで、周囲は「難しい」「無理だろう」と否定的だった。
そんな時に背中を押したのは、退院後のリハビリ担当、立川相互病院の作業療法士、長瀬由美子さん(48)だった。「どうなりたいですか」。リハビリの目標を問われ、湯上さんは「ギターが弾きたい」と伝えた。どうせ無理だ、とあきらめ半分の気持ちだったが、長瀬さんは「うん、分かったよ」と応じた。「やってもいいんだ。あの言葉がなければ、今はなかった」。心の中で待ち望んでいた一言だった。
右手は思うように弦をはじけないが、弦をたたいて音を鳴らす「ハンマリング」という奏法なら、左手一本で音を出せると考えた。
「発症前とまったく同じようには弾けなくても、湯上さんが納得するまで付き合おうという気持ちだった」と長瀬さんは言う。「ギターを弾きたいという気持ちと反対に、体は練習するほど硬くなる。体のためには弾きすぎない方がいいけど、ギターがあることで前向きになれるのだと思う」。湯上さんは「長瀬さんが体をほぐしてくれるので、安心して練習できる」と信頼を寄せている。
退院から3年後の今年5月、地域のイベントで初めて観客の前に立ち、オリジナル曲3曲を披露した。長瀬さんもキーボード演奏で応援に入った。
筋肉の緊張状態が続き、全身に慢性的な痛みが残る。演奏するとその痛みが増し、長時間の演奏は難しい。それでも、ギターを手放す気はない。
最近、友人と新しいグループを組んだ。「ギターを弾くのは命がけ。いつも『これが最後だ』という気持ちです」。自らを奮い立たせている。
ハンマリング
ギターなど弦楽器の演奏テクニックの一つ。右利きの場合は左手で弦を押さえ、右手に持った三角形のピックなどで弦をかき鳴らして演奏するのに対し、弦を押さえている左手の指でたたきつけるようにして音を出す奏法。ギター・ソロなどで情感を表現する時によく使われる。正式名称はハンマリング・オン。