ひかる737厄除け詩集 井伏鱒二 歳末閑居
久しぶりに井伏さんの小説よんで、こんな風に文が書けたらいいなあと思いました。
彼は、ずいぶん長く生活力がなかったらしく、実家から仕送りなどしてもらっていたようです。
でも、それだからこそ読みたくなるのかもしれません。
下記は小説ではありませんが、最近読みました。
歳末閑居
ながい梯子を廂にかけ
拙者はのろのろと屋根にのぼる
冷たいが棟瓦にまたがると
こりゃ甚だ眺めがよい
ところで今日は暮の三十日
ままよ大胆いつぷくしてゐると
平野屋は霜どけの路を来て
今日も留守だねと帰つて行く
拙者はのろのろと屋根から降り
梯子を部屋の窓にのせる
これぞシーソーみたいな設備かな
子供を相手に拙者シーソーをする
どこに行つて来たと拙者は子供にきく
母ちゃんとそこを歩いて来たといふ
凍えるやうに寒かつたかときけば
凍えるやうに寒かつたといふ